WindowsXPの時代は、主に3Dゲームを楽しむためにパソコンを使うのでなければ、あえてビデオカードは必要がなく、一般的な用途ではオンボードグラフィックでも十分でした。
Windows Vistaでは、HomePremium以上のエディションで、新しいGUI(Graphical User Interface)であるWindows Aeroを採用していますが、Windows Aeroはパソコンのグラフィックス パフォーマンスが低いと使うことができません。
そのため少し古いパソコンでは、ビデオカードを増設しないと、Windows Aeroが使えないケースも多いのですが、最新のマザーボードのグラフィック統合型チップセットは、VistaのWindows Aeroに対応しているものが多くなっています。
しかしオンボードグラフィックでは、Vistaのパフォーマンス評価のグラフィックスのスコアがクリアしてしていても、それで十分といえるほど高いスコアではなく、ビデオ編集など動画の処理や3Dゲームを時々するのであれば、ビデオカードを使った方が余裕があります。
Windows Vistaは、2007年1月30日に発売されましたが、その初めの頃は、古いパソコンの増設用のニーズに対応するため、これまでビデオカードを使わなかったユーザー層をターゲットに、Valueクラスの安いエントリー向けビデオカードが次々とリリースされています。
Vista発売時点で最新、またはそれ以降にリリースされたグラフィック統合型チップセットを搭載するマザーボードであれば、ビデオカードを増設しなくても何とかWindows Aeroが使用可能でしょうが、グラフィックス性能のハードルが高いVistaの登場によって、ビデオカードのマーケットは拡大しています。
また、最近ではパソコンで映像を扱うことも多くなっており、動画の再生、特にHD DVDやBlu-rayディスクなど高精細ビデオ(HDビデオ)を見るときに、CPUの負荷を軽減する機能がビデオカードに備わっており、GeForceシリーズはPureVideo HD 技術を採用、RADEON HDシリーズはUVD(Unified Video Decoder)をサポートしています。
グラフィック統合型チップセットも、WindowsVistaへの対応が進んでおり、特にAMDのプラットフォームでは、元々グラフィックチップ・ベンダーであるNVIDIAと、旧ATIの技術をベースに純正チップセットの提供を再開したAMDの両社のグラフィック統合型チップセットの内蔵グラフィックス機能が強化されてきています。
AMDのAMD690Gチップセットの内臓グラフィックスは、RADEON X1250を統合しており、さらにAMD780Gチップセットの内蔵グラフィックスは、Radeon HD3200と強化されています。
このAMD780Gチップセットは、動画再生支援機能のUVDや、内臓グラフィックスとビデオカードを組み合わせ高速描画や消費電力の抑制を図るHybrid Graphics、ビデオ専用メモリを搭載できるLFBなど新しい機能をサポートしており、史上最強のグラフィック統合型チップセットとしてAMD780G搭載マザーボードは人気があります。
また、NVIDIAのGeForce8200チップセットの内臓グラフィックスは GeForce8200とValueクラスのビデオカード相当であり、こちらも内臓グラフィックスとビデオカードを組み合わせるHybrid SLIをサポートしています。
こうした最新のグラフィック統合型チップセットを搭載するマザーボードを使用するのであれば、特に高速な描画性能が必要な3Dゲームでなければ、ビデオカードは必要がないでしょう。
ゲームの画像が紙芝居のようになってしまうような重い3Dゲームを楽しみたいのであれば、後からビデオカードを増設しても良いでしょう。
IntelのLGA775プラットフォームでは、グラフィック統合型チップセットもIntel純正が主流であり、Core2 DuoをサポートするG965チップセットの内臓グラフィックスGMA 3000でWindowsVistaに対応しています。
「Intel3シリーズ」のFSB1333MHzのG33チップセット(GMA X3100)とG35チップセット(GMA X3500)とグラフィック性能はさらに良くなっています。
また「Intel4シリーズ」のG45チップセットは内臓グラフィックスとしてGMA X4500HDに進化し、動画再生支援機能も付加されていますが、執筆時点では、まだ搭載マザーボードが発売されていません。
このところIntelのプラットフォームでは、AMDのプラットフォームよりグラフィック統合型チップセットの開発が遅れているようですが、それでも新しいチップセットでは、エントリー向けのビデオカード並みに性能が向上しています。
しかし、パソコンの主用途として3Dゲームを楽しみたいのであれば、やはりビデオカードを使用した方が良いでしょう。
そして、ビデオカードを購入するのであれば、AMD780GチップセットやG33チップセットの内臓グラフィック性能を明らかに上回るモデル、つまりミドルクラス以上のGPU(グラフィックチップ)を搭載しているビデオカードが良いでしょう。
なお、AMDのプラットフォームでは、Hybrid Graphics(CrossFireX)やHybrid SLIをサポートしているマザーボードでは、エントリー向けの安いビデオカードを追加してグラフィックス性能を向上させることができますが、現在はミドルクラスのビデオカードも安い価格で流通しており、ミドルクラスのビデオカードの方がパフォーマンスが優れています。
ミドルクラスのGeForce8シリーズとRADEON HD2000シリーズは、動画の再生支援機能や統合シェーダ技術の採用など技術的には大きく進化しましたが、グラフィック性能は少しパフォーマンスが上がっている程度でした。
動画の再生支援としては、特にHD DVDやBlu-rayディスクなど高精細映像を見るときに、CPUの負荷を軽減する機能として、GeForce 8シリーズからPureVideo HD 技術を採用、ミドルクラスのRADEON HD2000シリーズからUVD(Unified Video Decoder)をサポートしています。
3Dゲームの描画性能は、これまでGPUのコアクロック、メモリクロックと、ピクセルシェーダ、バーテックスシェーダのユニット数に大きく左右され、中でもコアクロックが高くてピクセルシェーダ数が多いGPUがパフォーマンスが良いGPUでした。
しかし、ピクセルシェーダとバーテックスシェーダのどちらか一方を酷使する3Dゲームが多くなったため、ピクセルシェーダやバーテックスシェーダのユニットをストリームプロセッサに統合することにより、ピクセルシェーダ、バーテックスシェーダ、ジオメトリシェーダのうちネックとなる処理に割り当てることで効率性を高める統合シェーダ技術が採用されています。
そして、この ストリームプロセッサの数がパフォーマンスに最も大きな影響を与える要因であり、GeForceとRADEONのそれぞれ同じシリーズ内のGPUを比べるとストリームプロセッサ数が多い方が優れています。
GeForceシリーズとRADEONシリーズのパフォーマンスの比較は、シェーダクロックの相違など技術的に異なるために、単純にストリームプロセッサ数で比べることができませんが、それぞれのシリーズ内では、エントリー、ミドルクラス、ハイエンドの区別はストリームプロセッサ数が倍以上違うことで明確なクラス分けがされています。
これまでNVIDIAに大差を付けられていたAMD-ATIが、RADEON HD4870、HD4850のリリースで一気に挽回し、すでに人気は逆転しています。
その要因としては、55nm製造プロセスである優位性(NVIDIAのGeForce GTX200シリーズは65nm製造プロセス)と、ストリームプロセッサのユニットサイズの効率化、さらにRADEON HD4870では駆動電圧が低いGDDR5メモリーの採用などワット性能に着目した設計思想が挙げられますが、何よりその効率化を価格に反映させていることが勝因でしょう。
CPUでは、かつて2006年7月に消費電力を抑えて効率を良くすることで性能を大幅に向上させた「Core2シリーズ」の登場でIntelに一気に立場を逆転されたAMDですが、GPUでは皮肉にも全く同じ効率化という設計思想で逆転したという状況です。
追う立場になったNVIDIAも、価格対抗や製造プロセスの微細化を進めており、今後もデッドヒートは続きそうです。