テレビの場合の著作権とは、製作された番組(製作物)の権利をいいます。
著作権は、著作権法によって、保護されており、違反すると刑事罰の対象になる場合もあります。
したがって、「知らなかった」では済まされませんので、十分に配慮しておかなければなりません。
著作権法において、テレビ放送の録画やコピーを行うには、原則として、著作者(権利者)の承諾が必要です。
しかし、これでは、不便ですし、個人や家庭のような「限られた範囲」で使用する場合は、録画やコピーを行っても著作者の権利や利益が大きく減少するわけではありません。
そこで、「私的な利用目的」である場合に限って、著作権者の承諾を受けなくても、録画やコピーを行えるような仕組みが出来ています。
それは、私的な利用であっても「私的録画補償金」を支払う義務です。
この補償金は、デジタル方式の録画機器やディスクなどの記録媒体の価格に含まれています。
したがって、ディスクを買うたびに個人的に支払う必要はありません。
補償金の金額は、消費者にとっては、ごく僅かな金額であり、例えば定価300円のディスクであれば、僅か1.5円です。
録画機器:定価の65%の1%(税別) 上限1000円
ディスク:定価の50%の1%(税別)
また、集められた補償金は、権利者に分配されるようになっており、コピーが増加すれば補償金の総額も増加して権利者に還元される為、権利者の利益に損害が生じないように配慮されています。
ただし、私的に使う目的でも、コピーガード(コピー制御信号)の回避機器(手段)を使って、コピーを行うと、違法になってしまいます。
以上が、著作権法や私的録画補償金制度の概略ですが、分かりにくいので、どのような場合が、違法になるのかを、分かりやすくまとめました。
通常は、著作権保護に対応した機器やメディアを使用して、取扱説明書に記載の範囲で、かつ、私的利用の範囲のコピーは合法とみなされます。
(1) 私的な利用目的(個人や家庭)の範囲での利用である。
(2) 著作権保護(CPRM CPS等)に対応した機器(レコーダ)である。
(3) 著作権保護(CPRM CPS等)に対応したメディア(ディスク)である。
○ CPRM, CPS等に対応したディスクにコピーワンス番組を録画
○ ムーブ機能を「利用」してHDDからDVD等に「ムーブ」
黙認されているというのは、合法という意味ではありません。
また、私的利用範囲であれば、明らかに違法というわけでもありません。
今後の社会の動きやコピー保護の運用状況で、変わる可能性もあるグレーゾーンです。
△ コピー制御信号のある放送を、信号を検出しない機器で録画や複製
△ ムーブ機能を「利用」した「バックアップ」
△ 放送を私的録画補償金の対象外であるデータ用ディスクに録画や複製
△ CD等を私的録画補償金の対象外であるデータ用HDDやメモリーに複製
ムーブ機能の利用については、ムーブそのものは合法ですが、ムーブ機能を利用バックアップについては、やや、グレーです。
但し、ムーブ機能を悪用して、再生可能なディスクを2枚以上作成した場合は、明らかに「複製」であり違法です。
パソコンを利用した私的録画補償金を支払わない手段についてもグレーです。
× 放送を録画したディスクを販売
× 放送を録画したデータをWeb上に公開する
× コピー制御信号のある放送をコピーガードキャンセラーで録画や複製
× コピー制御信号のある放送や市販DVDの暗号を解除してのコピー
× ムーブ機能を「悪用」した「複製」
明らかに違法となるのは、不正コピー保護のための仕組みを改変してのコピー
です。保護の方法には、コピーガード信号だけでなく、例えば、ネジによっ
てメディアを保護している場合などもあり、このような場合はネジを外して
コピーすると、コピー保護技術の改変と見なされ、違法行為になります。
最後に、我が国の法律では、私的録画についても著作者の権利が重んじられています。
しかし、国によっては、私的な範囲での「コピーする権利」を重んじる国もあります。
ところが、もし、私的録画での無限コピーを許せば、当然、違法コピーも増加することになります。結果的に、犯罪者が増加すると、ソフトの価格が上がってしまい、我々にとっても良いことではありません。
これらのバランスを調整する可能性をもっているのが、法律のグレーゾーン部分なのかもしれません。
補足:
ここで記載しているグレーゾーンとは、あくまで、著作者と我々が合意できるゾーンのことであり、著作者に不利益を与えるようなものは、除外すべきです。
また、パソコンでのCDコピーの氾濫で、一時期、コピーコントロールCDが登場しましたが、このような、両者にとってマイナスになるような方法は講じるべきでは無かったでしょう。
当時、電車の車内でWalkmanを聴いている人が減少してゆく中、一部のCDコピーを防止したところで、減少を食い止めることが出来ないことは、誰もが予想していたことと思います。
Walkman離れの原因がケータイであることは間違い無く、この隙間と、著作権保護のグレーゾーンの隙間に侵入してきたiPodの普及を阻止できなかったことは、我が国の恥ずべき事態だったと思います。
一方、調整機能となりうるグレーゾーンとは、このiPodを含めたMP3プレーヤーが、まさに、その一例です。
CDからMP3プレーヤへのコピーは、一部で、独自の著作権保護技術を搭載している場合もありますが、法律のグレーゾーンを狙った商品です。
MP3プレーヤは、事実上は、音楽CDをコピーして再生しますが、公には、音楽用プレーヤでは無く、パソコン周辺機器の一部として販売されています。
これは、私的録画補償金の対象が音楽用MDや音楽用CD-R、録画用DVDなどに限られており、パソコン用HDDやパソコン用フラッシュメモリーは対象外のためです。
つまり、コピーされるデータは、あくまで、パソコンのデータの一部と解釈されているのです。
一方で、CDからのデジタルコピーは、ほぼ無劣化であるため、著作権の権利者にとっては、コピーの増加が利益の減少に繋がっている問題があります。
このように、とてもグレーな存在ではありますが、Walkman離れ、音楽を聴く人口の低下を食い止めた事は、事実であり、MP3プレーヤの普及によって音楽CD購入に結びついている事例が増加し、結果的には、MP3プレーヤ普及の方が、収益が増加しているのでは無いでしょうか。
コピーコントロールCD 利用者減少 & コピー制限 → 利益減少(!?)
MP3プレーヤ普及 利用者増加 & コピー増加 → 利益増加(!?)
また、既に、CDは、インターネットや放送からダウンロード購入する時代に変わりつつあります。
CDからのデジタルコピーはグレーでしたが、インターネットや放送からダウンロード購入は、権利者を特定できる上、コピー可能回数なども権利者が設定できる為、著作権の意図しないようなコピーは、完全に無くなります。
つまり、権利者にとっては、私的録画補償金の対象外であったとしても、何ら問題が無くなるのです。
(このような背景を含めて、私的録画補償金のあり方が見直されようとしています。
しかし、誰もが自己の利益を優先して、まとまらない状況です。)
最後にまとめると、①ユーザの利便性や楽しみ方が膨らむようなプラス志向のグレーゾーンを積極的に利用することで普及を促進する、②権利者の利益を確保するための新しい収益構造を埋め込む、③最終的な普及によって権利者の利益に繋げる、といった、ステップが著作権保護により権利者の利益確保になると思います。
つまり、放送においてもコピー制御でユーザの利用形態を制限するのでは無く、グレーゾーンによるコピー機能を有効利用し、新たに利益を生むような仕掛けが重要です。
(コピー制御に関連情報)
しかし、現実には、HDDを取り出してムーブ機能を悪用する人も存在しています。
そこで、CPRM対応DVDのような著作権保護機能を搭載したHDDが検討されています。
SAFIA(Security Architechture For Intelligent Attachment device)対応HDD(旧名称=iVDR Secure対応HDD)と呼び、元々は、リムーバブルのHDD用として作成されましたが、今後は、HDDレコーダでも採用される方向です。
本ページは、著作権保護に対する理解を深めること目的としています。
合法/違法を問わず、著作物のコピーを推奨しているわけではありませんので、以上の情報によって、いかなる損害が発生した場合でも、一切、責任を負いません。